皆様、こんにちは。本日は1/8(木)。昨日は1/7。日本では…「人日の節句」と呼ばれ、古くから七草粥を食へる習慣があります。我が家でも細やかながらスーパーで材料を買い、作りました。正月の祝い膳で疲れた身体をいたわり、1年の無病息災を願うこの風習は、単なる行事食ではなく、日本人が長い年月をかけて編み出してきた「身体への気付き」と「生活への寄り添い」の結晶でもあります。
七草粥に用いられる春の七草は、芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな=かぶ)、蘿蔔(すずしろ=大根)の七種です。これらは特別な薬草ではなく、かつては道端や田畑の周辺に自生していた身近な植物であったそうです。白い米に若菜を刻んで煮た七草粥は、味付けも素朴で、胃腸に負担をかけない。ここには「豪華さ」よりも「整えること」を重んじる日本人の美意識が表れているのではないかと私は感じております。
七草粥の起源は中国の「人日(じんじつ)」の節句に遡るとされます。人日には若菜を食べ、邪気を祓い長寿を願う風習があり、それが奈良・平安時代に日本へと伝わったと言われております。特筆すべきは、医学が未発達であった時代においても、人々が経験的に「正月明けの身体は疲れている」「内臓を休ませる必要がある」と理解していた点です。これは数値や検査に頼らない、生活の中で培われた身体感覚の智慧とも言えるのではないでしょうか?
現代社会は、便利さと引き換えに「常に急かされる時間」を生み出しました。食事は短時間で済まされ、睡眠は削られ、思考は休まる間もなく刺激に晒され続けております。このような生活は、目に見える疲労よりも先に、各臓器の代謝・修復・調整機能を静かに消耗させて参ります。
そこで本日は…忙しさとストレスがどのように臓器を疲弊させ、どの栄養素が失われ、そして七草粥がどのようにその流れを穏やかに立て直すのかを、臓器ごとに検証して参りたいと思います。何故ならそのように…改めて季節の行事を検証する事が、古来より人が大切にしてきたモノの核心が何なのか?に『気付き』、その心に『寄り添う』事にも繋がると思ったからであります。
◯胃・腸 に与える影響
早食い、不規則な食事、高脂質・高糖質の食生活、そしてストレスは、胃酸分泌と自律神経のバランスを乱します。交感神経が優位な状態が続くと、胃や腸への血流は減少し、消化酵素の分泌や腸の蠕動運動が低下します。即ち、私たちの胃や腸は、自分の意思で動いているわけではありません。「食べ物が入ってきたら、ここで胃酸を出して、次は腸へ送る」という一連の流れは、自律神経が指揮しているお陰です。これに対して…ストレスを感じると身体は「戦う・逃げるモード(交感神経優位)」になります。この状態では、
•脳や筋肉には血液が集まる
•胃や腸への血流は後回しになる
つまり、消化するためのエネルギーが足りなくなるのです。その結果として…
•胃の動きが鈍くなる → 『胃もたれ』という状態
•胃酸の出方が乱れる → 『機能性ディスペプシア』という状態
•腸の動きが安定しない → 『便秘と下痢を繰り返す』と状態
等になります。これらは…「壊れている」のではなく、動く力が出せなくなっている状態とも言えるのではないでしょうか?
《変化する栄養素》
腸内環境の悪化は、ビタミンB群、ビタミンK、短鎖脂肪酸などの産生低下を招くと言われております。特にビタミンB群はエネルギー代謝と神経機能に不可欠であり、不足は慢性疲労や集中力低下に直結します。それに対して…七草粥は低脂質・高水分で、胃腸の物理的負担を最小限に抑えると言われます。七草に含まれる水溶性の食物繊維は、腸内細菌の餌となり、短鎖脂肪酸の産生を助け、腸管の炎症を穏やかに鎮めると言われております。
◯肝臓 に与える影響
過剰な糖質・脂質摂取、アルコール、睡眠不足、ストレスは肝臓に集中する。肝臓は解毒・代謝・栄養貯蔵を担うため、休む間がなくなります。
その結果、
・脂肪肝
・γ-GTP上昇
・慢性的な倦怠感
が生じても、痛みとしては現れにくくなります。
《変化する栄養素》
肝機能低下は、
・ビタミンA・D・Kの代謝異常
・アルブミン合成低下
・血糖調節異常
などを引き起こすと言われております。即ち、肝臓は、食べた栄養を…「今使う」「貯める」「別の形に変える」…と仕分けする巨大な工場のような臓器と捉え直す事も可能です。忙しさや過食、睡眠不足が続くと、肝臓は…解毒、栄養の加工、血糖の調整を同時にこなさなければならなくなります。その結果として
•ビタミンA・D・K
→ 脂溶性ビタミンは肝臓で処理されるため、疲れると使いこなせなくなります。
•アルブミン合成異常
→ アルブミンは肝臓で作られる「血液中のたんぱく質」と言えますが、材料も時間も足りなくなります。
•血糖調節異
→ 肝臓は「血糖の貯金箱」。疲れると出し入れがうまくいきません。
これらは、栄養不足というより、栄養を扱う余裕がなくなった状態とも言えるのではないでしょうか?
これは免疫力や血管の健康にも影響します。それに対して…七草に含まれる植物性ポリフェノール、ミネラル、葉緑素は、肝臓の酸化ストレス軽減に寄与すると言われ、さらに、食事量を抑えた粥食は肝臓の代謝負荷を下げ、「回復のための時間」を与えるとも言われております。
◯血液・血管に与える影響
ストレスはコルチゾール分泌を高め、血糖値・血圧を上昇させると言われます。運動不足と相まって、血液は粘稠になり、末梢循環が低下します。
《変化する栄養素》
慢性炎症状態では、
・鉄の利用効率低下
・葉酸不足
・抗酸化物質の消耗
が起こり、貧血の様な症状や冷えを招くとも言われます。即ち…ストレスが続くと、身体の中では小さな「炎症」が長く続きます。これを慢性炎症と呼びます。炎症が続くと…
•鉄は「危険物」とみなされ、使われにくくなる
•葉酸は細胞修復に優先的に使われ、枯渇しやすい
•抗酸化物質は「消火活動」に使われ続ける
つまり、材料が足りないのではなく、使う量が増えすぎて追いつかなくなる状態になるのです。
その結果、
•だるさ
•冷え
•集中力低下
などが現れやすくなると言われております。
それに対して七草には鉄、葉酸、カリウムが穏やかに含まれ、血液成分の材料補給に寄与しているとも言われます。塩分控えめであることも、血管への負担軽減につながります。
◯肺・呼吸 に与える影響
緊張状態が続くと呼吸は浅く速くなり、酸素供給効率が低下すると言われております。これにより、全身の細胞は慢性的な酸素不足に陥ります。
《変化する栄養素》
酸化ストレス増加により、
・ビタミンC
・グルタチオン
が消耗しやすくなると言われております。即ち…私たちの身体は、呼吸するだけでも「サビ(活性酸素)」が発生します。ストレス・睡眠不足・炎症があると、その量は一気に増えます。ビタミンC・グルタチオンの役割とは…身体のサビ止め役です。
•ストレスが強い
•呼吸が浅い
•炎症が多い
この状態が続くと、サビ止めが使われ続け、補充が追いつかなくなります。それに対して、温かい粥は迷走神経を刺激し、深い呼吸を促します。植物性栄養素は抗酸化系の回復を支えると言われてます。
◯脳・神経系に与える影響
情報過多、判断の連続、睡眠不足は脳のエネルギーを著しく消耗させます。その結果、自律神経の切り替えができず、常に緊張状態となっております。
《変化する栄養素》
脳では
・ブドウ糖利用効率低下
・マグネシウム不足
・ビタミンB群枯渇
が起こり、イライラや不安感に繋がっております。即ち…脳は体重の2%ほどしかありませんが、エネルギー消費は全体の20%以上を占めます。情報過多・判断疲れが続くと…
•ブドウ糖を大量消費
•神経の興奮を抑えるマグネシウムを消費
•エネルギー変換に必要なビタミンB群を消耗
その結果、イライラ、不安感、ぼーっとする…といった状態が起こります。それに対して、七草粥の様な、消化負担の少ない炭水化物は脳のエネルギーを安定供給し、マグネシウムやB群の補給は神経の興奮を鎮めて参ります。
七草粥は薬のように「効く」ものではありません。しかし、胃腸を休ませ、肝臓の仕事量を減らし、炎症と消耗を止め、栄養の使い道を整える…以上の事を行う事で、身体が自分で立て直す余地を作る食事であります。これこそが、日本人が長い時間をかけて身につけてきた。「身体の声に気付き、無理をさせない寄り添い」なのだと思います。不調が起きてから治すのではなく、乱れが大きくなる前に、静かに少しづつ整える食事とも言い換える事が可能ではないでしょうか?
七草粥から教わる事は…『少しづつ整え』、日常の中での小さな選択を積み重ねて行き、内なる変化を見逃さない繊細さ…それこそが現代社会に生きる私達に必要な…乗り越えるべき課題ではないでしょうか?
多くの先人達の知恵に耳を傾け、内なる課題に耳を傾ける。効率を旨とし、多くの人間らしさを排する現代だからこそ…逆に成長の糧があるとも言えるのではないでしょうか?1/7がそんな皆様の心に響く日となって頂けましたら幸いでございます。




