梅が香に追ひもどさるる寒さかな

皆様、こんにちは!本日は2/20(木)。ここ数日の寒さで身が縮こまってしまいがちですが…ふと周囲を見渡すと、いつの間にか紅や白の梅の蕾が見掛けられる日々になっている事に驚きます。寒い日にも負けずに花を咲かそうとする梅の気概に目を細めると同時に心を鼓舞される想いが致します。
実は昨日も、たまたま仕事である方の外出支援をしていたのですが、両眼を殆ど見えない方であるにも関わらず、私が『すぐ近くに梅の木に蕾がいっぱい付いてますよ』とお話すると『そうですか』と仰り、暫くそこに佇んでおられました。寡黙な方でしたが、周囲の状況を5感を通して鋭く感じ取る事ができる方でしたので、梅の香りを楽しんでおられたのかな?とも思いました。松尾芭蕉の句に、『梅が香に追ひもどさるる寒さかな』という句があります。ちょうど今頃の寒さの中で咲いている梅を現している俳句として余りにも有名です。立春後の寒さを余寒と言いますが、暖かくなりかけた後の寒さは逆に身に堪えるモノです。それにも関わらずその寒さをこれから凛として咲き始めようとする梅の香りが逆に追い返そうとさえ思える…そのような梅の力強さを称えた俳句を思い出しました。
人として持っている能力は有限と言われますが、逆に失って初めて本来持っていた能力に気付く事もございます。春夏秋冬に咲く花々の力強さやそこに集う動植物に気付く能力もその一例ではないでしょうか?
介護を行っていると枝葉末節ではない、そのような根源的な有り難さに突然気付く事がございます。今も尚、毎日の介護で大変な想いをされているご利用者様、ご家族様に少しでもそのような気付きが訪れますように…そのような想いで毎日お手伝いをさせて頂いております。