血液の流れ方と認知症の3大症状(失行、失認、失語)との関係について

皆様、こんにちは。本日は6/7(土)。雨になる日が続いたかと思えば…ジメジメとした暑さがぶり返したりと…過ごしにくい日も続いております。皆様も、季節の変わり目で体調を維持する事の難しさを感じておられるのではないでしょうか?
さて…前回、『血液の流れ方と身体の各臓器との関係』を私なりの視点で考察してみましたが、今回は更に一歩踏み込んで、皆様からのご要望の多い認知症の3大症状(失行、失認、失語)との関係についても考えてみたいと思います(3大症状の各定義については、前回と前々回で具体例を出しておりますので、そちらをご覧下さい)。
1.認知症の3大症状(失行、失認、失語)
 いずれも「脳が情報を処理するルート」が乱れることで起きると言われております。ここに血液の流れ、つまり酸素や栄養の供給障害が深く関わってきます。
2. なぜ「血流の違い」が認知症に関係するのか?
脳は、体重の2%ほどの小さな臓器ですが、酸素とブドウ糖の消費量は全体の約20%にもなります。よって…血流がほんの数分止まるだけで、神経細胞は回復不能なダメージを受けるのです。そして、この血流は、脳以外の臓器の状態(心臓、肺、肝臓、腎臓など)によっても大きく影響を受けます。前回のブログでも掲載させて頂きましたが…
血液の流れ方と各臓器との関係は…
①役割が違うから(肺はガス交換、腎はろ過、肝は加工と解毒、脳は処理センター)。
②構造が違うから(心臓はポンプ、腎臓は網目のような濾過機構、脳は環状の保険構造)。
③時間・圧力・量が違うから(一瞬の遅れが命取りになる脳や心臓に対して、じっくり処理する肝臓や腎臓)。
以上のような理由により相互に密接に関係があるのです。それ故にその一つでも遮断されると…周り回って、認知症という形となって、表面に現れてくると考えられています。
3. それでは…各臓器の血流と認知症症状との関係は具体的にはどういう形で出てくるのでしょうか?
【心臓】と認知症:心臓が弱ると、脳への血流も減り、慢性的な酸素不足になります。特に前頭葉(計画・動作)や頭頂葉(空間認識)が影響を受けやすくなると言われております。具体的には…失行(動作の段取りミス)が出やすくなると言われております。
【肺】と認知症:肺でのガス交換が悪くなると、酸素が足りないまま脳に運ばれ、酸欠状態が続くと、脳の認識や記憶処理が乱れます。具体的には…失認(物・人・場所がわからない)が目立ち始めると言われております。
【肝臓】と認知症:肝臓の働きが低下すると、アンモニアなどの有害物質が血液に残留。これが脳に影響し、「肝性脳症(かんせいのうしょう)」という意識障害を引き起こします。具体的には…失語(言葉が出ない・理解できない)が急に出る事が指摘されております。
【膵臓】と認知症:インスリンやグルカゴンによる血糖調整が乱れると、脳にとっての唯一のエネルギー源であるブドウ糖が不安定になります。特に高血糖や低血糖の急激な揺れは、脳機能の低下を引き起こします。具体的には…失語や失認の「一過性悪化」が見られる事が指摘されております。
【腎臓】と認知症:腎機能が落ちると、尿素や毒素が体内に残留し、血液を通して脳へ。すると…「尿毒症性脳症」と呼ばれる状態になり、急に混乱・錯乱・失語が起きる事が指摘されて、特に「失語」や「失認」が目立つ(何を話しているのか自分でも分からなくなる)と言われております。
【脳】と認知症:
・左脳に血流障害 → 失語
・右脳に血流障害 → 失認
・前頭葉や頭頂葉の循環障害 → 失行
以上のように…血流がどの「脳領域」に影響するかによって、現れる症状が変わると言われております。

私達は無意識のうちに、心臓が拍動し、肺が呼吸し、肝臓や腎臓が浄化し、膵臓がエネルギーを調整し…そうした臓器の絶妙な協力によって、脳は“考える”ことができているのです。
つまり、
心臓や肺が弱ると、「動き方や空間の認識」が乱れる(→失行・失認)。肝臓や腎臓が弱ると、「頭がぼんやりし、言葉が出にくくなる」(→失語)。膵臓の影響で血糖が安定しないと、「一時的に話せない・混乱する」こともございます。
ご高齢者の認知症症状が「日によって違う」「時間帯で変化する」と感じられる背景には、こうした血液循環と各臓器のコンディションのゆらぎが、深く関係しているのではないかと言われております。
本日は…前回に引き続き、体の各臓器と血液の流れ方との関係が認知症の3大症状に与える影響を皆様の疑問に寄り添いながら…私なりの視点で考察してみました。
次回は…『臓器別の、家庭で無理なく取り入れられるサポート方法』をご紹介させて頂けましたらと思います。